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これまで私がしてきた仕事の中でおもしろい物がありましたので紹介したいと思います。
私は、大学院を出た後、とある研究所に勤務しておりました。
ここは、「財団法人 環境科学技術研究所」と呼ばれておりまして、文部科学省からの委託を受けて、環境中での放射線物質の移行シミュレーションなどの研究をしています。テレビによく登場する「青森県六ヶ所村の再処理施設」のすぐそばにあります。このため、日本原燃関連の研究所と思われがちですが、全く別物です。
私は大学院在学中に生体内での放射性物質(この場合、ガン診断で必要な放射性物質のことなのですが)をトレースする研究や、PET(陽電子捕獲断層画像撮影装置)を用いたガン診断をしておりました。この関連でこの研究所に勤務したのですが、これが大変おもしろい!!
放射性物質移行の研究をするのですが、それを測定するために作られた施設が半端じゃありません。閉鎖型生態系実験施設(CEEF)と呼ばれる巨大施設があり、内部で人間2名、動物2名が実際に暮らし、農耕地を模擬したモジュールまで有ります。それぞれ、居住モジュール、動物飼育モジュール、植物モジュールと呼ばれ、内部で暮らす人間や動物から排出された二酸化炭素や、糞尿などは、すべて機械で処理され、植物の肥料として再利用されます。CEEFに外部から流入する物は、電力と情報のみ。その他はすべて内部で合成または再利用されます。
閉鎖型実験施設(CEEF)
これすべてが実験施設であり、内部に各モジュールがあります。 |
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モジュール間を移動中の本田
内部はすべて外界と遮断されており宇宙ステーションのようです。 |
つまり、小さな地球環境を再現しているわけです。このため、CEEFは「ミニ地球」とも呼ばれており、内部で人為的に生態系を再現しています。実際に研究してみると、地球と同じ環境を作るのは、大変だということがわかります。CEEFは、すさまじく大きな規模の施設ですが、これでもっても人間2名がやっとです。これ以上多いと、酸素を供給できなくなったり、廃棄物を処理しきれなくなります。自然というのは、絶妙なバランスの上で保たれていることを痛感させられます。
私は、動物モジュールの性能を評価し、閉鎖環境で動物がどういうストレスを受けるのか研究していました。CEEFは「宇宙コロニーの地上実験施設」としての応用力を持っているため、NASA(アメリカ航空宇宙局)やESA(欧州宇宙機関)と研究活動が活発に行われております。獣医師になり、まさかNASAの研究員と一緒に仕事ができるとは思ってもいませんでした。NASAは、国際宇宙ステーション(ISS)を打ち上げ、現在も数名のクルーが搭乗しており、私たちの頭上を通過しています。しかし、NASAは、ISSより先のことを注目しています。それは、火星への移住。
国際宇宙ステーション(ISS)
2002/4/17撮影 (NASA提供) |
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火星で起動に成功したソジャーナ
(NASA提供) |
科学者の間では、現在の地球環境は汚染が進み、もう逃げ出すしか方法ないのではという考えもあります。この逃げ場が、火星です。昼と夜の気温差はかなりありますが、大気を改造することでなんとか住めるようになる計画があります。これを惑星改造(テラフォーミング)と呼びます。この作業や、その後の惑星移住では、居住問題が重要と考えられています。火星へ行くためには、現在、最も早いエンジンを積んだスペースシャトルでも半年ほどかかります。このため、火星に居住施設を作り、自給自足の生活をしようとNASAは考えているわけです。この目的に近い施設がCEEFであり、NASAの研究員が積極的に研究活動を行う気持ちが理解できます。
折しも、NASAは火星へ無人探査機(ソジャーナ)を送り込むことに成功し、我々人類はたくさんの情報を得ることができました。その後も、スピリットなど2機種が送り込まれ、火星への移住はますます進行しています。このままテラフォーミングに成功すれば、近い将来、火星へ移住できる日が来るかもしれません。しかし、それは地球環境の破滅も意味しており、悲しい結果でもあります。人類というのは大変愚かで、地球にとっては体をむしばむウイルスのような存在で有るのかもしれません。我々は、もう少し環境をいたわり、長生きする努力をしなくてはならないのですが、それに気づいている人類は多くはいないようです。
ともあれ、私が、この研究所で研究できたことは、大変名誉なことであり、獣医師だけでなく、人類のために貢献できる研究ができたことに誇りを持っています。ずーっと、将来、火星移住が当たり前のような時代になったとき、歴史の教科書のほんの1枚の写真にしかならないかもしれませんが、この研究所での思い出は一生忘れないと思います。
見学者は大歓迎ですので、問い合わせして中を見てみる事をおすすめします。おすすめは、植物が生長し始めた、実験中盤がおもしろいですね。大体、夏頃かな?
最後に・・・・
CEEFを見学すると、地球上で「小さな問題」で戦争をしている地球人が、いかに愚かなことか判ると思いますよ。もう、そういうことしている場合じゃないんだってば・・・・
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