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Q 知人の飼っている猫が腎不全で完治は難しいといわれました。何かよい治療法はないのでしょうか?
(2006年7月8日デーリー東北掲載)

 腎不全は猫に比較的発生が多く、治療方法も少ない病気です。腎臓は、血液の中に貯まった老廃物をこしとって、尿として体の外に出す臓器です。また、血液の合成に関与するホルモンを放出している場所でもあります。腎不全を起こすとこれらの機能に障害が起き、老廃物がたまって神経症状を示したり(尿毒症)、重度の貧血を起こします。

 原因にもよりますが、一度壊れた腎臓が機能を回復するのは難しく、完治できる唯一の方法は腎移植です。しかし、動物において臓器バンクはありませんし、ドナーを探すことも大変なことです。このため、血液中の老廃物を機械を使って体外へ取り出す「人工透析」が必要となります。軽症の場合は、お腹の中に老廃物を吸い取る液を入れて、一定時間後に取り出す「腹膜透析」が有用な場合もあります。しかし、事前にお腹や首の血管にカテーテルを入れる手術が必要なうえ、1回に数時間の透析作業を週に数回行う必要があります。これらの処置には、軽い麻酔が必要なため、高齢の猫などでは難しい場合もあります。また、時間がかかる治療のため、飼い主さんがなかなか来院できないのが現状です。

 このため、現実的な方法として、多量に点滴をして血液中の老廃物を薄めて、オシッコに出してしまう方法があります。これはまだ腎臓の機能が少しでも生きている間には有効です。老廃物がたまりにくい専用の処方食もありますので、これらを併用するとより効果的です。また、食事と一緒に活性炭を給仕し、老廃物を吸着させて便に出してしまう方法も有効です。貧血がある場合には、週に数回、ホルモン注射をして状態を改善していきますが、重症な場合は、輸血を行うこともあります。

 いずれにしても長い治療期間と、飼い主さんの根気が必要です。私自身、飼い猫を腎不全で失った経験があり、大変悔しい思いをしたものです。2年間の治療を行いましたが、最後にはいずれの治療方法にも反応しなくなり、力尽きてしまいました。しかし、QOL(生活の質)を重視した治療を行い、「猫らしい生活」をさせることはできました。完治できなくとも、症状を和らげ、死期を遠ざけることは十分に可能です。動物病院の先生と十分に治療方法をご相談ください。
 

尿毒症が出始めた猫の様子
元気がなく、うずくまります。歩こうとしても、足が震えて、うまく歩けません。
(*私が学生の頃に飼っていた猫です。)