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Q 生後1ヶ月の子犬を飼っています。生まれてからずっとおっぱいを飲んでいましたが、先日、離乳食をあげたところ吐いてしまいました。ミルクをあげると吐きませんが、離乳食だと必ず吐きます。動物病院に連れて行ったところ、食道と心臓の手術が必要だといわれました。これはどういう病気なのでしょうか?
(2007年11月3日デーリー東北掲載)

 そらく、右大動脈弓遺残症だと思われます。これは、心臓付近の血管における、先天的な奇形で起こる病気です。母親の胎内いる時、胎児の心臓には、大人にはないいくつかの血管があり、生命維持に役立っています。これらは、胎児の成長と共に退化して、やがて無くなってしまいます。

しかし、まれに本来無くなるはずの血管が残ってしまうことがあります。これにより、心臓付近の血管の構造が変わり、すぐ側を通過する食道を、異常な血管が強く挟み込んでしまいます。この状態を右大動脈弓遺残症と呼び、食道が圧迫されるために大きな固形物が食べられません。このため、液体であるミルクや水は通過しますが、ドッグフードなどの固形物は詰まってしまい、簡単に吐いてしまいます。

 
当院で行った右大動脈弓の手術の様子
ピンセットでつかんでいるのが異常な血管。

 この様な理由から、母乳からドッグフードに切り替わるころの離乳期に発見されることが多い病気です。嘔吐を繰り返すうちに、血管に挟まれた部分より上流側(口側)の食道は大きくなって袋のような構造となり(食道憩室)、食べたものが長時間貯まってしまうため、発酵が進み、腐敗臭がすることもあります。この病気を持っている動物は、うまく栄養を吸収できないため、やせていることが多く、また、吐物が肺に入ってしまい、肺炎を起こすこともよくあります。

症状が軽い場合は、液体状の食事を取らせる食事療法である程度の改善は可能ですが、症状が重い場合は手術でしか根治することは出来ません。手術はなかなか難しい部類の手術となります。開胸手術によって、動いている心臓のすぐ側の血管や周辺組織に手術を施して、圧迫されていた食道を元の大きさにもどします。

 
手術後、胸に貯まる血液や浸出液を吸い取るためのパイプ(ドレーン)が設置されます。
この子は、手術後すごく元気になりました。

 
 当院においても犬、猫においてこの手術を行っておりますが、手術後には、それまで食べられなかった固形フードが食べられるようになります。ただ、圧迫されていた部分より上流側にできた食道憩室が大きな場合は、手術後にも嘔吐が起きることが多く、長期間の食事療法が必要となることがあります。