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Q 私の家では、猫エイズに感染したネコを2年前から飼っています。知人から、猫エイズは人にうつるので、安楽死をした方がよいと言われたのですが、本当ですか?
(2008年7月12日デーリー東北掲載)


 全くのデタラメです。猫エイズとは、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)によって引き起こされる感染症で、主に体の防御機構である免疫機能が壊されてしまう病気です。人のエイズウイルス(HIV)とは似て非なるものであり、人間には感染しません。またその逆もありません。
 このウイルスは、噛みキズから伝染するため、主に猫どうしの喧嘩によって伝染します。特に日本は国土が狭い割に多数の野良猫がいるため、ネコのテリトリーがぶつかりやすく、喧嘩が多発します。このため、日本の猫のFIVの感染率は高く、野外にいるネコの10〜30%は感染しているともいわれています。

 
手前は、我が家で以前飼っていたエイズ猫「トラ」。
奥でくっついているのは、健康な同居猫。

トラは非常に温和な性格な猫で、喧嘩や噛むことはありませんでした。このおかげで、数年間、一緒にいた猫たちにも感染することはありませんでした。
残念ながら、老衰にて亡くなりました。

 猫エイズに感染した猫は、最初はほとんど無症状ですが、病気が進行すると免疫の低下が進み、外界から侵入してくる細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなります。このため、たいしたことがない感染症やケガでも症状が悪化することが多くなります。特に首の周りのリンパ節が腫れたり、ひどい口内炎が発生しやすく、この段階で動物病院へ来院されるケースが多いようです。残念ながらこの病気を完治できる有用な治療法はなく、悪化した部位に対する対症療法や免疫力を上げるためのインターフェロン療法などが主なものとなります。これらの治療は長くかかることが多く、かかりつけの動物病院の先生と相談しながら、根気よく治療を行っていきましょう。

 ご自宅でできることは、できるだけ感染の確立を下げることを考えましょう。外には出さず室内で飼育し、病気を媒介する可能性のあるノミやダニの徹底した駆除を行いましょう。外に出たがって興奮する場合、体の状態がよいのであれば、避妊や去勢手術を行うことも検討した方がよいでしょう。また、定期的な健康診断も重要です。一見健康に見えても、免疫の低下が進行していることもあり、早めに発見できれば対処できる場合もあります。

 しかし何よりも重要なことは、ストレスのない飼育環境づくりです。ストレスは体内のホルモンバランスを崩し、感染症に対する抵抗力を下げてしまいます。大好きな飼い主さんと一緒に、好きな場所でのんびりと過ごせる環境を作ってあげましょう。